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1人だけ幸運の男 スッラ


閥族派指導者スッラ
民衆派指導者マリウス


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ルキウス・コルネリウス・スッラ・フェリクス(紀元前138―紀元前78)。

古代ローマ史でスッラ体制ともいうべき強固な閥族派の政権をつくり上げた

独裁官。共和制最後のリーダーと評されてもいいでしょう。スッラといえば

ガイウス・マリウス(紀元前157―紀元前86)との因縁が有名です。ちなみに

マリウスの妻はローマの英雄・皇帝カエサル(シーザー)の叔母です。つまり

マリウスはカエサルの外伯父という事になります。また、マリウスといえば

鷲(わし)にまつわる不思議なエピソードがありますね。鷲は3つ以上の卵を

育てないと言われていました。幼いマリウスは7羽の雛(ひな)が住む鷲の

巣を見つけました。これがのちに、彼が7回の執政官選出を果たす吉兆だった

と言われています。


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スッラとマリウスの因縁

閥族派(オプティマテス)の指導者スッラ。民衆派(ポプラレス)の指導者

マリウス。しかも、スッラはかつて、マリウスに仕えています。自分を抜擢

してくれた人物であり、政敵であり、協力者でもあった。愛憎入り混じった

複雑な人間関係だったようです。歴史小説『ローマ人の物語』著者の塩野七生

(しおの・ななみ)先生は、「共和制という袋を修繕したにすぎなかった」

とスッラの事を評価しています。現代ならば、自民党を修復した小泉純一郎

元首相とオーバーラップする(首相在任時に発行されていた小泉内閣メルマガ

「らいおんはーと」が懐かしいですね)。カルタゴを倒したローマは混迷に

次ぐ混迷を深めます。領土が2倍以上になったのに、今までの指導体制のまま


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維持しようとしたので大混乱をもたらしました。キリスト教、民主主義の嫌う

皇帝が生まれるまでの繋ぎでしかなかったようです。反対派である市民を、

ことごとく虐殺、懸賞金をかけるなど冷酷極まるクールな男で、気分屋だった

ようです。政治体制がうまく機能していない時は大胆な改革が必要で、反対派

を潰して旧体制のほころびを繕えばいい、というものではないようです。軍事

才能は百点ですが、政治では落第点と言わざるを得ません。ローマ軍恒例の

ストライキもスッラの指揮下では起こらなかったようです。恐怖政治を怖れた

のでしょう。「幸運なるスッラ(スッラ・フェリックス)」という渾名(あだ

な)がブラックユーモアのような複雑な響きをもって聞こえて来るようです。