明治の工芸
知られざる超絶技巧
2014年5月11日放送(本放送)/2014年5月18日よる(再放送)
【出演】 山下裕二(美術史家)
とれたての竹の子。むきかけの蜜柑。熟した柿―――
実は、どれも象牙の彫刻。汚れや傷まで本物のようです。
「ただ事じゃないですよね。この凄みというんですか。
よっぽどの達人というか、名人芸ですよね」
それは、世界をあっと言わせた日本の超絶技巧。
明治時代、西洋に工芸品を売り込もうと、
職人たちが持てる技のすべてを注ぎ、数々の名品を生み出した。
井浦新 「お~……いや~よく出来てるな」
すごい動き方しますね。本当の蛇を持っている様な」
鉄や銅で作られた蛇。これもただの置物ではありません。
大きく羽を広げ、黄金に輝く孔雀。
屏風に描かれた絵のように見えますが……
緻密に糸を縫い上げた刺繍です。
絵の具では決して表現できない、生きているような存在感。
今では再現不可能ともいわれる明治の細密工芸。
知られざる技と美の世界へご案内しましょう。
京都・清水寺(きよみずでら) へ向かう参道の途中、
小さな美術館があります。清水三年坂美術館。
展示されているのは、
幕末から明治大正にかけて作られた工芸品の数々。
明治の建物や美術品は大好きです。
西洋に追いつき追い越せみたいな気概があふれ、
パワーみなぎる時代ですねぇ。
失われてしまった技術がたくさんあるのは残念なことです。
もっと伝統工芸を勉強して、
新しいモノづくりに生かして欲しいものです。
いまは行き詰まりの時代なので、
古いテクノロジーを見直す時期に来ている様な気がします。
東間 陽一 Yoichi Azuma