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アフリカを制した男 スキピオ


スキピオ・アフリカヌス
(紀元前236―紀元前183)



スキピオは第2次ポエニ戦争で、敵師匠とも言うべきハンニバルに勝った、

執政官です。ザマの戦いで、ハンニバルを完全に撃破しました。スキピオは

青春時代を第2次ポエニ戦争を過ごし、ローマ軍の連敗を肌で感じました。

カンナエの戦いでも戦場にあった。ハンニバルに勝てたのは、彼に連敗した

からだとも言えるでしょう。カルタゴ軍の将軍は、戦闘に敗北すると死刑。

ローマ軍では負けた側の将軍は、敗北した事で充分雪辱を受けているとして

責任が追及されません。現代人が古代を考える上で余り差がないとも感じる

かも知れませんが、非常に正反対の対応だと思っています。人が成長する時は

誰かに教える時、失敗する時ではないでしょうか。ハンニバルに連敗したから




こそ、ハンニバルと並んで評価されるスキピオだと考えています。資本主義の

考え方が蔓延している現代は失敗する、負けるという事に、あまりに臆病に

なっているのではないでしょうか。特に、身体に刻み込まれるような敗北や

失敗を経験する事は、その人にとって大きな成長になっています。日本も、

失敗する人間をバッサバッサとクビにしていく時代になって来ました。それは

カルタゴと同じ負け=死刑の姿勢です。「失敗して十分おまえは恥をかいた。

次は頑張れよ」という器の大きい人間が、今の日本には居なくなったのでは

ないでしょうか。「明日があるさ、次は負けない」という超ポジティブ姿勢を

取れる人間が今の日本にはもっと必要です。ザマの戦いでそれまでハンニバル




のしてきた事を全てスキピオから返されてしまう――歴史を変えた一戦です。

復讐戦争がいかに危険なものかを歴史が証明しています。ローマの人々は、

そのままカルタゴを包囲網戦に持ち込むと思っていたのですが、和平に持ち

込んでいます。敗者の気持ちがよく分かる、じつに、ヒューマニズムです。

大カトーから言いがかりをつけられ隠遁してしまい、偶然にもハンニバルと

同じ年に亡くなります。『ローマ人の物語』著者、塩野七生先生はそのまま

改革が必要だったとしていますが、やはりハンニバルとの死闘で燃え尽きた

と言っていい。戦いに負けること、戦争に勝つこと。両者は別物なのです。

東間 陽一 Yoichi Azuma
SIEG2039


(2018年01月14日更新)



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